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文明・退化

ある日、庭の水やりホースのヘッドが新しいものに替わっていました。
これが楽ちんで、楽しい。

以前は、蛇口とホースの接続部分(ヘッドとセットで付いてくる)も老化して水が漏れ、
ヘッド部分も水の開閉部分がこわれていて、手元で一時水を止めることができず
どちらも水を受けるバケツが必要だった。
ありがたい。
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今はダム貯水率70%以上ですが、これはここ2年ほどのことで、
普段は乾期には20%を切るなんていうおそろしい土地。
節水は常。漏れる水はもれなく受けて再利用。
食器も、ふつうシンクに溜めた水に洗剤を落とした中で洗って、
そのまますすがない。
カフェでたまにコーヒーに洗剤の味が混ざっていたりする。

並んだふたつのシンクのもう一方に張った
きれいな水にくぐらせてすすぐ人もいますが,
最後の方にはすすぎ水も汚れてくるので
日本人としては流水ですすぎたい。

そこで無駄を避けるべく、ちょろちょろと気の遠くなるような細い水ですすぎ、
水もボウルで受けて庭にやる。
20年くらい前にシドニーにホームステイに行った友人の、
「水が貴重で頭洗うのは3日にいっぺん」という
当時は信じらなかった報告が、あたまの隅によみがえる。


以前、節水制限もピークの頃に、
ベトナム人の人たちが水を惜しげもなくジャージャー流しているところを目撃してしまい、
各国の水についての常識の違いと
育った環境感覚の修正のむつかしさを、
心臓に悪い光景を前にしながら思いました。


以前は考えるだけで肩が凝っていた食器洗い、
貯水率の安定したここ近年は、日本にいる頃とおなじとはいかないまでも、
肩の力を抜いてのぞめます。
ありがたい。



さて、ホースヘッド。
嬉々として水やりをし始めた自分の姿にふと
「こうやって人間って弱化していくんだなあ」と、一瞬呆然。


ちょっと飛びますが、もともと「人を殺してはいけない」とか「他人から搾取してはいけない」
とか、法はすべて弱い人間のためにつくられています。
強い人は殺しまくり、搾取しまくり、それなりに人生を謳歌していたはず。

道具もおなじように、非力な人にも作業が簡単にできるよう、
工夫されたもの。
できないひとには、能力を求めるのではなく、逆に環境を整えてやる。

普段も、パソコンで文章を書きながらよく、
一昔前はみんな紙にペンで書いていたんだよなあ、もし間違えたら最初っから書き直しだし!
と考えます。

丸谷才一に、
「まず、書き出す前にワンセンテンス頭の中に作る。それから書くとよい」
というようなアドバイスがありました。(文章読本)
なんどもなんども書き直すタイプなので、なるほどいい方法だと思って試してみたら
いいと思った言い回しが、
文の終わりを考えている頃には思い出せない。

メールの代わりに手紙で新年の挨拶を書こうと思い立った時も、
ペンを持つ筋力の衰えに字が乱雑になっていて愕然。
辛うじて読める字を書こうとすると、すごい時間と労力がいる。


昔のひとはえらかった、と
畏敬の念をあらためつつ、
もとの便利なパソコン生活にあっさり逆戻り。



辞書もおんなじで、
ぐぐればスペリングや漢字が間違っていても答えが出てくる。

Do you mean 機能が稚拙だった頃は、
しきりに電子辞書が欲しい!と思いましたが、
ネットの言い当て機能が向上した今は必要なくなりました。
ただ、デジタルで新しい単語を調べても、
そのあと記憶が定着しないことに気がつき.....
今は字引にもどっています。

情報を視覚記憶できる人は問題ありませんが、
試験の時に「何ページの右上にあった」とか、
「Pのつぎにe、そのつぎはa..」というふうに
情報に到達するまでの距離感/地理体感で記憶するタイプには
東西南北感のないソフトのみの勉強はツライ。
(あらためて生粋の第一次産業の遺伝子を実感)

いつだったかミスチルの桜井氏が、
しばらくのあいだ音楽配信をしなかった理由を、
「あの、レコード屋でCDを手に取る時の感じをファンの人にも届けたいから」
と話していたような記憶があります。
体感が感情と記憶に直結している。



バケツで水を受けたり、すすぎ水を庭に撒いたり、ペンを持って辞書を引いたり。
レコード屋さんに走ったり。
東海道五十三次を歩いて旅したり。

自転車の変速も、昔はいちいちタイヤを外して行なっていたそうです。
で、レースに負けた選手が、
今のカチンカチンという手元ギアを開発したらしい。
レースに勝った選手はもちろんそんなこと気づきもしなかったろう。

肉体労働の軽減を望んだ結果、低下した身体機能。
この因果関係を、はたして反比例とよぶものかどうか。



体外受精サポートクリニックをやめた頃、
次世代に種を残すのが唯一個体としての生命目的なのに、
体外受精でも受胎できない個体をサポートするって一体....?

と、若い頃はもんもんとしていましたが、
これだけ体外受精児が増えた今、
将来はみんな体外受精で生まれてくるんだろうなあ、と
文明の原理を実感、納得するまでにいたる。
歳をとるって悪くない。




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by aquinoaqui | 2013-03-12 12:23 | 自然医療